「グラン ブルー」のリュック ベッソンが生み出した、フランス映画の傑作カーアクションシリーズ「TAXi」。
南フランスの港町 マルセイユを舞台に、走り屋タクシードライバーとおっちょこちょいの若手刑事が、信じられないスピードで改造タクシーを走らせて、凶悪犯を追走する。
あの大ヒット映画が、再びスクリーンに帰ってきます。
映画「TAXiダイヤモンドミッション」は、新たな俳優を迎えてドジな主人公二人を演じ、痛快なカーアクションにさらに磨きをかけた作品とのことで、いやでも期待せずにはいられません。
伝説の改造タクシーはもちろんのこと、みんなが大好きなおとぼけ署長も登場する、人気シリーズ待望の新作を紹介します。
Contents
007のアイディアを アクションコメディに取り入れる
1998年に公開された映画「TAXi」は、迫力満点のカーアクションとテンポの良いストーリー展開で、映画ファンのハートをつかみ、オリジナルだけでもシリーズ4作が制作される大ヒットとなりました。
大人気の秘密は、斬新なアイディアというより、既存のアクション映画の良いところを上手く活用しながら、多くの観客が好む軽いコメディタッチに仕上げたところでしょう。
まるでボンドカーみたいな仕掛けがあるタクシー
主人公の一人ダニエルが操縦する、フランス車 プジョー406セダンの改造タクシーは、グローブボックスを開けると出現する操作盤のスイッチを押すと、フツーのタクシーが派手なレース仕様へと変身する仕組みです。
この辺りは、イギリスの人気スパイ映画 007シリーズの主人公、ジェームズ ボンドが乗る、ボンドカーのアイディアそのままです。
冒頭のアクションシーンも007と同じ
「TAXi」シリーズの第一作では、宅配ピザの配達員だったダニエルが、やっとのことでタクシー運転手の許可が下り、愛車の406タクシーをスイッチ一つでレース仕様へと変身させます。
そして、急ぎの客を乗せたダニエルが、信じられない猛スピードで街中を爆走する、しびれるようなカーアクションシーンが物語の序盤で登場。
これもまた、冒頭で、必ずジェームズ ボンドによる、息の詰まるアクションシーンが見られる007シリーズと同じ。
観る人が飽きないよう、本題に入る前にまずインパクトのあるシーンを見せて、気持ちを惹きつけておくという手法が、「TAXi」でも採用されています。
あの伝説の映画と同じプロットも
映画「TAXi」に盛り込まれたアイディアは、007シリーズだけではなく、70年代に公開された、知る人ぞ知る伝説のカーアクション作品からもヒントを得ています。
「TAXi」パート1では、マルセイユ警察の手に負えない高性能な輸入車、二台の真っ赤なメルセデスベンツに乗って逃走する、ドイツ人の銀行強盗団が登場。
走り屋タクシー運転手のダニエルと、もう一人の主人公でおっちょこちょいな新米刑事エミリアンが、抜け目のないベンツ強盗団の秘密を暴き、二人が改造タクシーを暴走させて捕まえるという物語でした。
このような、抜群のドライビングテクニックで高性能車を操り、警察の追撃を見事にかわして逃走する強盗団というプロットは、1977年に公開されたイタリア映画「フェラーリの鷹(原題:poliziotto sprint)」とそっくりです。
シトロエンDSからメルセデスベンツE500へ
「フェラーリの鷹」では、元プロレーサーの銀行強盗犯が、当時は世界最先端の車だったフランス車、2台のシトロエンDSが持つ性能を最大限に生かして操縦し。
イタリア ローマの街を、猛スピードで逃走するシーンが、車が好きな映画ファンの間で伝説となっています。
「TAXi」シリーズは、巨匠リュック ベッソンが、過去に制作された、優秀な作品が持つプロットを巧みに取り入れ。
それらを、新感覚のアクションコメディとして再構築することで、独自の面白さを生み出しているところが、大きな魅力でしょう。
記念すべき第一作から、早くも20年後の新作となる、ファン待望の「TAXiダイヤモンドミッション」では、犯人の車として一体どのような車が登場するのか?ファンには、非常に気になるところです。
新作「TAXiダイヤモンドミッション」のストーリーは?
映画「TAXi」について、過去のシリーズ作をざっとおさらいすると、最初の作品がベンツの銀行強盗団と対決。
TAXi2では、訪仏中にマルセイユへと来た日本の防衛庁長官とエミリアンの恋人ペトラが、3台の黒いランサー エボリューションⅥを操るヤクザに誘拐され、ダニエルとエミリアンが二人の救出へと向かう話。
TAXi3は、マルセイユで大暴れしていたサンタクロース強盗団を追って、凸凹コンビが雪に覆われたアルプスへと向かい、プジョー406タクシーは雪上車に変身してスキー場を爆走する。
TAXi4では、ダニエルが乗る改造タクシーがフルモデルチェンジして、プジョー406から新型407へと変更。
護送中に、凶悪な犯罪組織のボス アルヴェールを愚かにも取り逃がし、警察をクビになったエミリアンの汚名返上のため、アルベールを追ってモナコへと向かう物語。
お騒がせな警官と間抜けな運転手との新コンビ結成!
TAXiシリーズ待望の新作、「TAXiダイヤモンドミッション(原題:TAXi5)」は、パート1と同じ港町マルセイユを舞台に、イタリア人の宝石窃盗団と対決する物語。
超高性能スポーツカー フェラーリを操る、元F1パイロットの宝石窃盗犯が狙うのは、マルセイユの美術館へと運ばれてくる、世界最大のダイヤモンドです。
本作では監督も務める、俳優フランク ガスタンビドが新たな主人公マロを演じ、マリク ベンタルハ演じるエディとの新コンビを結成!
ダイヤモンド強奪を阻止すべく、伝説のタクシー プジョー407に乗って、フェラーリに乗る宝石窃盗団との、危険なカーチェイスに挑みます。
人気のおとぼけ署長と いつも不運な同僚の刑事も登場
TAXiシリーズの醍醐味は、主人公たちの愉快な掛け合いや、息をのむスリリングなカーチェイスだけではありません。
ファンに大人気の、マルセイユ警察のおとぼけ署長ジベールと、署長にいつも振り回される、同僚の刑事アランの活躍は絶対に見逃せません。
主役の二人以上に間抜けなために、いつもとんでもない事態を引き起こしてしまう、おとぼけ署長のジベールと。
署長のおかげで、毎回ひどい目にあわされ、大けがをさせられる不運な同僚の刑事アラン。
新作では、さらにパワーアップしたジベール署長のおとぼけぶりや、あいかわらず運の悪いアランがスクリーンで大爆笑を巻き起し、作品を大いに盛り上げることが期待されます。
世界最大のダイヤモンドを窃盗団から守れ!
プロのレーシングドライバー顔負けのテクニックを持つ、パリ市警の警官シルヴァン マロ(フランク ガスタンビド)は、特殊部隊への配属が望まれるほど、パリではもっとも優秀な警察官の一人。
その反面、スピードと女性に目がないマロは、あまりにも素行が悪いために問題を起こし、ついにパリからマルセイユ警察へと左遷されてしまいます。
その頃マルセイユでは、フェラーリに乗る宝石窃盗団が大暴れしており、その恐るべき高性能と抜群のドライビングテクニックを前にして、地元マルセイユ警察はとても歯が立ちません。
都合の悪いことに、マルセイユ美術館に展示する、世界最大のダイヤモンドが輸送される日があと5日と迫っており、それまでに何としてでも犯人を捕まえねばなりません。
あの おとぼけ署長がマルセイユ市長に?
信じられないことに、現在はマルセイユの市長を務めている、元マルセイユ警察のおとぼけ署長ジベール(ベルナール ファルシー)が、マロの運転技術を評価し。
フェラーリに乗る、こしゃくな窃盗団からダイヤを守る「マフィア作戦」のリーダーに任命しますが、さすがのマロも、これでは犯人を捕まえることはできないと考えます。
そのような矢先に、マロは、以前はマルセイユ署の刑事で、現在は何と警察署長となっているアラン(エデュアルド モントート)に。かつて、伝説の改造タクシーで大活躍した、ダニエルとエミリアンの話を聞かされることに。
伝説のタクシーが再び走り始める
今では二人の姿はもうないが、噂のタクシーが現在モロッコにあると聞いたマロは、ダニエルの甥で、自分もタクシードライバー志望だというエディ(マリク ベンタルハ)に車をマルセイユ港まで輸送させます。
ついに伝説の改造タクシー プジョー407を目の当たりにしたマロ。
「こいつは、伝説以上の車だぜ」と、自慢げにハンドルを握るエディですが、エディがマニュアルミッションの車を運転できないと知って、マロはガッカリ。
やむなくハンドルを手にしたマロは、聞いた通りにスイッチを操作して車をレース仕様へと変身させ、かつてダニエルが走ったマルセイユの街を、伝説の407タクシーで再び走り始めます。
新凸凹コンビが 強敵フェラーリに乗る窃盗団を追う
ついに宝石窃盗団による襲撃事件が発生し、黄色のフェラーリ458イタリアに乗る窃盗犯が、猛スピードでマルセイユの街を逃走。
天才的な腕を持つスピード狂の警官マロと、かなり間抜けだが、マルセイユの街には詳しいエディとの新コンビが、復活した伝説のタクシーで犯人を追撃します。
果たして、二人は犯人を捕まえることはできるのか?
犯人の手から、ダイヤを守ることはできるのか。
犯人の車はフェラーリの他に、イタリアのスーパーカー、ランボルギーニの最高峰モデル アヴェンタドールも飛び出して、新コンビが乗るタクシーとの熾烈なバトルが繰り広げられます。
監督・主演は フランク ガスタンビド
新生TAXiシリーズの監督を務め、主役のマロを演じるのが、フランス中央部でパリの南東に位置する街 ムラン出身のフランク ガスタンビドです。
現在40歳のガスタンビドは、2010年に俳優としてデビュー後、2012年のコメディー映画「カイラ」※1で、監督・脚本・主演という三役を務めて商業的な成功を収めます。
その後、2016年の映画「パタヤ」※2でも監督と共同脚本、そして本作でもタッグを組んだ人気俳優 マリク ベンタルハと共演し、フランス国内で大ヒットを記録。
映画「TAXiダイヤモンドミッション」では、あのジェイソン スティサムが若返ったような、警察官マロを熱演しています。
リュック ベッソンが認めた、才能豊かなガスタンビドには、今後も目が離せないでしょう。
(※1、※2ともに日本未公開)
相棒のエディ役は マリク ベンタルハ
将来は、伯父のようなタクシードライバーになりたいけれど、運転が下手で間抜けな相棒エディ役は、南フランス ガール県出身のマリク ベンタルハです。
元は、フランスで、コメディアンとして活躍していたマリクは、現在29歳。
フランスでは、多くの映画やテレビドラマに出演し、非常に人気のある俳優です。
本作では、伯父のダニエルとは全く異なる、おっちょこちょいな相棒エディを、マロ役のガスタンビドと息もぴったりに好演しています。
おとぼけ市長ジベールを ベルナール ファルシー
TAXiシリーズではもっとも人気が高い、マルセイユのおとぼけ署長を演じるのは、美食の都として有名な、フランス南東部の街リヨン出身の俳優 ベルナール ファルシーです。
TAXiシリーズでは、欠かすことのできない名物キャラ、ジベールを演じるベルナールは、現在69歳。
1983年に公開された、名優ジェラール ドパルデュー主演の映画「溝の中の月」や、ヴァンサン カッサルと共演した2001年の「ジェヴォーダンの獣」など、多くの注目作に出演したベテラン俳優です。
「TAXiダイヤモンドミッション」では、なぜかマルセイユ市長にまで大出世したジベールを、おとぼけエンジン全開で、大爆笑の演技を披露しています。
不運なアラン役は エドゥアルド モントート
ジベール署長のせいで、いつでもひどい目に遭わされる不運なアラン役は、フランス領ギアナ出身の俳優、エドゥアルド モントートです。
とっても大きな鼻が印象的なモントートは、現在47歳。
本作では、市長へと出世したジベールに代わって、以前の平刑事から見事にマルセイユ警察の署長なるという、ご都合主義としか思えないアランの設定。
シリーズすべてに出演している、ファンにはおなじみのアラン役を、モントートが、相変わらずのタフな演じぶりで笑わせてくれます。
制作・脚本は 巨匠リュック ベッソン
TAXiシリーズ全作で脚本を担当し、本作でも制作・脚本を手掛けているのが、有名なフランス映画界の巨匠、リュック ベッソンです。
ベッソンは、フランス パリ出身の現在59歳。
映画監督で脚本家、映画プロデューサーでもあるベッソンは、映画制作会社、ヨーロッパコープの社長という肩書も持ちます。
フリーダイバーのジャック マイヨールの人生を描いた、映画「グラン ブルー」や、クライムアクションの「ニキータ」。
ジャン レノとナタリー ポートマンが共演した、映画「レオン」といった、数々のヒット作を世に送り出したリュック ベッソン。
ベッソンは、ジェイソン スティサム主演の映画「トランスポーター」や、リーアムニーソンの「96時間」といった大人気シリーズでも、脚本を手掛けています。
最近では、2014年に公開されたスカーレット ヨハンソン主演のSFアクション、映画「ルーシー」で監督と脚本を務め、活躍しています。
「TAXiダイヤモンドミッション」の評価は?
2018年4月にフランスで公開された「TAXiダイヤモンドミッション」は、スティーブン スピルバーグの「レディ プレイヤー1」を抜いて、二週連続で興行収入第1位を獲得。
観客動員数は365万人を超える大ヒットを記録し、その後、ヨーロッパ各国でも、軒並みランキング上位の成績を残す快挙となっています。
批評家によると、「監督と主演を務めたフランク ガスタンビドは、このTAXiシリーズの新作において、リュック ベッソンの正当な継承者となる実力を示した、すばらしい作品」と、絶賛しています。
まとめ
フランス映画界の巨匠、リュック ベッソンが生み出した新感覚カーアクション、TAXiシリーズ待望の新作「TAXiダイヤモンドミッション」は、本国やヨーロッパ各地で大ヒットとなっています。
新作では、主役の二人に新たな実力派俳優を起用し、おとぼけ署長や不運な同僚など、名物キャラも変わらずに大活躍。
自慢のカーアクションに加え、爆笑のエピソードや、物語のスケールも大きくグレードアップした、見ごたえ十分の作品に仕上がっています。
映画「TAXiダイヤモンドミッション」は、2019年1月18日に、日本公開となります。
コメントを残す