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イギリス制作のドラマを放映するBBCアメリカで、2018年4月に放送が開始された、女性秘密情報部員と暗殺者との攻防を描いた「Killing eve」。
敵対する女同士の二人が、お互いを探るうちに次第に心の距離を縮めていくという、極めて珍しいテーマで描かれるこのドラマは、放送開始直後から視聴者に絶賛され、批評家からも非常に高い評価を受けています。
女スパイを夢見ていた平凡なアラフィフ女性が、狂気の殺人マシーンと呼べる女暗殺者とかかわったことで、良くも悪くも人生が一変してしまうこの作品は、日本でもきっと多くの人が夢中になる注目の作品です。
アラフィフ女スパイと、無慈悲な殺しのプロフェッショナルとをめぐる、意外な関係性が魅力のドラマ「Killing eve」を紹介します。
Contents
殺し屋とはこういうものだ
ドラマ「Killing eve」は、イギリス出身の作家でジャーナリスト、ルーク ジェニングスが書いた小説、「CODENAME VILLANELLE」を元にして制作された、サスペンススリラーです。
原作となった小説の題名、「CODENAME VILLANELLE:コードネーム ヴィラネル」とは、暗殺者の呼び名のこと。
アメリカのアクション小説の巨匠、フレデリック フォーサイスが書いた「ジャッカルの日」の殺し屋ジャッカルや、フランス映画「ニキータ」の少女暗殺者ニキータと同じで、「Killing eve」に登場する主人公の女暗殺者はヴィラネルと呼びます。
「Killing eve」の魅力は、この暗殺者ヴィラネルにおける、キャラクターづくりの素晴らしさにあります。
若くてキレイでサイコな殺し屋
この暗殺者ヴィラネルは、殺しのプロにふさわしく、標的となった人物を、何のためらいもなく簡単に殺害します。
この辺りは、一般的なサスペンス小説と何ら変わりませんが、ヴィラネルの場合は、精神病質(サイコパシー)であるのが大前提として存在すること。
精神病質の犯罪者が、次々に人を殺していくなどの作品は、過去にいくらでもあるのは承知のとおりです。
「Killing eve」の女暗殺者ヴィラネルは、「サイコパス + 暗殺者 + 若い女性」というプロットを徹底的に深く掘り下げ、見事にリアリティのある人物像を構築しているところに、視聴者を惹きつけてやまない面白さがあります。
人殺しが楽しくてたまらない
犯罪心理学におけるサイコパスの特徴は、良心が異常なまでに欠如している・冷酷で無慈悲・平然と嘘をつく・行動に対する責任が取れない・罪悪感が全くない・プライドが高く自己中心的・口が上手く表面的には魅力的に映る、などです。
「Killing eve」の制作者は、このようなサイコパスの特徴を、「人を殺害して金銭を得るプロの殺し屋で、無秩序のまま大人になった若い女性」という、ヴィラネルのキャラクターとして見事に反映させています。
たとえ強力な武器を持っていたとしても、人を一人殺すというのは、それほど簡単なことではありません。
サイコパスなヴィラネルは、人並みの良心などカケラも持たないだけでなく、人や生物を殺すことに、ある種の快楽を見出してさえいます。
まさかと思える設定が 絶妙なリアリズムを生む
ヴィラネルは、手に掛けた標的が確実に死んだと認めるまで、決してその場を離れません。
その理由は、死んでゆく人の目が、次第に光を失っていくのを見るのが、たまらなく楽しいからという恐るべきものです。
人を殺すのも楽しい、死んでゆく姿を見るのも楽しい、標的を自分の手に掛けたらどんな顔をするのか、想像するだけでも楽しいというとんでもない女性。
その上、殺しの報酬として多額の収入が得られるのですから、もう彼女は幸せいっぱいです。
殺人で稼いだお金を使って、ヴィラネルは、大好きな女の子らしい洋服やモノなどをいっぱい手に入れて、あこがれのパリの街でぜいたくな暮らしを満喫しています。
このような、まさかと思える人物設定が、犯罪心理学による正確な裏付けを用いることで、絶妙なリアリズムを生み出し。
それが、女優 ジョディー カマーの素晴らしい演技と相まって、世にも魅力的なキャラクター「暗殺者ヴィラネル」を誕生させました。
英国保安局に務める 平凡で退屈なアラフィフ女子
「Killing eve」に登場するもう一人の主人公で、アラフィフ女子のイヴ ポラストリ(サンドラ オー)は、イギリス保安局(MI5)で情報分析の仕事をしている、ややヒステリー症の女性です。
イヴは、学校教師をしている誠実な夫と、ささやかですが幸せな生活を営んでいますが、実際には平凡すぎる毎日に飽き飽きしています。
職場では、犯罪心理が専門のイヴは、人の心に隠された闇や、知られざる実態に興味津々です。
その得意分野において、人一倍頭の切れるイブは、今の職場よりもきっと自分の才能が生かせる、秘密情報部員(女スパイ)になりたいという夢を持っていました。
持ち前の才能で 事件に隠された秘密に気づく
ある日、イヴは、職場で偶然にも、ある事件に隠された意外な秘密に気づきます。
それは、ウイーンでロシアの政治家が暗殺された事件と、彼女が秘かに研究していた殺人事件の手口とが、なぜか一致しているというもの。
早速イヴはそのことを上司に話し、犯人は女性に間違いないと進言しますが、デスクワークしか知らないただの分析官が、何を言っているのかと全く相手にされず…。
納得がいかないイヴは、ウイーンからロンドンへと移送されて来た目撃者を尋問しようと、無断で病院を訪れます。
ですが、すでにその病院には、目撃者を消すために秘かに潜入していた、恐るべき暗殺者の姿がありました。
平凡な分析官と暗殺者との衝撃的な出会い
病院で、事件の目撃者から話を聞き、自分の考えが間違ってはいなかったと確認したイヴは、その分析能力に自信を抱きます。
イヴが病院のトイレに入ったとき、何とそこには、看護師を装って潜入していたヴィラネル(ジョディー カマ―)の姿が。
ところが、この衝撃的な二人の出会いは全くの偶然でした。
イヴは、目の前にいるのが政治家を暗殺した犯人で、狂気の殺し屋ヴィラネルであるなどとは、知る由もありません。
ヴィラネルもまた、トイレに入ってきた女が、自分のことを調査している保安局員だとは知らず、何気ない挨拶を交わしてその場を立ち去ります。
トイレに行き 戻るまでの間に皆殺し
トイレから病室へと戻ったイヴは、想像を絶する光景を目にすることに…。
自分がいない間に、何者かが目撃者を殺害。
同時に、病室にいた看護婦と二人の警備員までもが、無残に殺されている姿を、目の当たりにしたのです。
信じられない事態に、途端にヒステリーを発症して、わめき叫ぶイヴ。
ですが、頭の良い彼女は、殺害された手口から、自分が調べている犯人の仕業だと気づいていました。
事件によって 晴れてスパイへの道が開けることに
このことで、無断で目撃者を尋問したことがバレ、イヴを始め、同じ部署で働く全員が解雇されることに。
しかし、この事件に興味を示した、イギリス秘密情報局(MI6)のロシア支局長 キャロリン マルテンス(フィオナ ショウ)に、イヴはスカウトされます。
そして分析官だった平凡な女性イヴは、上司のビル(デイビッド ヘイグ)と同僚のエレン(カービー ハウエル=バプティスト)。そして、ハッカーのケニー(ショーン デラニー)とともに、MI6のスパイとして、残忍な女暗殺者ヴィラネルを追うこととなるのでした。
サイコだけに一筋縄ではいかない殺し屋
ヴィラネルは、わずかな時間で四人もの人間を殺害できるほど優秀な殺しのプロですが、相手にわざと苦痛を感じさせるような、雑な殺し方をするのが目立ちます。
イタリア トスカーナでは、もっと楽に殺せるはずなのに、わざわざ標的の目玉を狙って、ヘアピンを突き刺したり。
ブルガリアでは、オフィスビルの窓ガラスで外から丸見えなのに、標的の男を拳銃を振りかざして脅し、逃げようとするのを面白がるようにして射殺。
ヴィラネルのハンドラー(調教師という意味)で、殺しの仲介人コンスタンティン(キム ボドゥニア)は、こうした問題行動を懸念して、ヴィラネルの部屋に精神分析医を連れてきます。
精神テストで異常ぶりを見せつける
まさかとは思うが、もしヴィラネルに殺しを楽しむような性癖があれば、組織からは危険人物とみなされかねない…。
自分が親代わりのように感じているコンスタンティンは、ヴィラネルの身を案じて精神テストを受けさせますが、分析医が首を吊られて殺されている人の写真を見せても、ヴィラネルは顔色一つ変えません。
それどころか、大きな犬が首吊りにされている写真を見ると、ヴィラネルは思わず爆笑してしまうなど、とても話にならず。
やむなくコンスタンティンは、ヴィラネルに、しばらく休暇を取るようにと命じます。
全然言う事を効かない困った殺し屋
コンスタンティンは、ヴィラネルにやさしく言い聞かせたつもりでしたが、人殺しが心から大好きな彼女は、とても納得がいかず。
それならていねいに殺してやるわと、ターゲットの女性がトイレに入ったのを狙って、毒物を混ぜた香水を使って、勝手に殺害してしまいます。
ヴィラネルが言いつけを守らなかったことで、コンスタンティンは怒り、彼女に詰め寄りますが、残念ながら少しも改心する様子はなく。
「オマエ、当局にシッポをつかまれているぞ」と、ヴィラネルの行動を何とか改めさせようと、コンスタンティンは、MI6が嗅ぎまわっていることを知らせます。
ついに二人の女が それぞれの存在を知る
さすがに顔色を変えたヴィラネルは、その夜に、さっそく話に聞いたイヴ ポラストリの名を検索。
ヴィラネルは、その顔を見てびっくり、「あっ、あのオバサンか!」と、殺しを実行した病院で見たイヴを思い出します。
そして同じころ、イヴは、事件のあった病院に怪しい人物がいなかったか、データファイルで勤務する人間すべての顔写真をチェックしていったところ、該当者はゼロ。
ふとその時、イヴは「私、犯人に遭ったかもしれない」と、トイレにいたヴィラネルの顔を思い出します。
こうして、アラフィフ女スパイと、若くて残忍な女暗殺者による、血にまみれた危険な探り合いが幕を開けることとなります。
「Killing eve」のキャストを紹介
新感覚サスペンススリラーとして、大ヒットとなっている、ドラマ「Killing eve」に登場するキャストを紹介します。
女スパイ イヴ役を サンドラ オー
保安局の分析官から秘密情報部MI6へと転職した、主人公の女スパイ イヴを、首都オタワ出身の韓国系カナダ人、サンドラ オーが演じます。
現在47歳のサンドラは、ドラマ「グレイス アナトミー」のクリスティーナ役で、日本のファンにもおなじみの女優。
グレイス アナトミーでは、2006年にゴールデングローブ賞 助演女優賞などに輝き、サンドラのはまり役として知名度を確立します。
サンドラは、「Killing eve」で主演に抜擢されたことについて、ハリウッドでは自分がアジア系の女優であるために、これまで不条理な扱いを受けてきたと語り。
今回、主人公のイヴを演じることに、心から感激していると、自らの役柄に対する強い意欲を示しています。
暗殺者ヴィラネルは ジョディ― カマー
美しくもサイコパスな女暗殺者、ヴィラネルの持つキャラクターを見事に演じるのは、イングランド リヴァプール出身の女優、ジョディ カマ―です。
現在25歳のジョディは、イギリスで最高視聴者数1,000万人を超えた大ヒットドラマで、日本のAXNチャンネルでも放映された、「女医フォスター」のケイト役で有名な女優。
その後「13」・「リリングンプレイス」・「ホワイトプリンセス」と、ドラマ作品で続けて主演を務めています。
本作「Killing eve」では、サイコパスな殺し屋という新境地を確立し、その豊かな才能から、英国ドラマ界では欠かせない女優となっています。
MI6局長キャロリンに フィオナ ショウ
イヴの非凡な才能を見抜き、自らの元へとスカウトした、MI6ロシア局長キャロリン役を、アイルランド南部コーク州出身のフィオナ ショウがキャスティングされています。
現在60歳のフィオナは、映画「ハリーポッター」シリーズに登場する、主人公ハリーの伯母ペニチュア ダーズリー役で有名です。
同シリーズの他に、ダニエル デイ ルイス主演の映画「マイ レフトフット」や、ソフィー マルソー主演の「アンナ カレーニナ」、ジョシュ ハートネット主演の「ブラックダリア」といったヒット作に出演。
映画やドラマの他、舞台でも活躍するベテラン女優です。
殺しの仲買人コンスタンティンを キム ボドゥニア
ヴィラネルに殺しの仕事を持ってくるハンドラー、コンスタンティン役を、デンマーク コペンハーゲン出身の俳優 キム ボドゥニアが演じています。
現在53歳のボドゥニアは、デンマークでもっとも成功した俳優として知られる名優で、あのデンマーク・スウェーデン合作のサスペンススリラーの傑作、ドラマ「THE BRIDGE」のマーティン役で有名です。
本作「Killing eve」では、ヴィラネル役のジョディと、コンスタンティン役のボドゥニアとの、ハラハラさせる掛け合いが大きな見どころとなっており。
何をしでかすかわからない危険なヴィラネルを、何とか手なずけようとするコンスタンティンを、ボドゥニアならではのいい味を出しながら演じる姿が、視聴者を大いに楽しませてくれます。
ドラマ「Killing eve」の評価は?
ロッテントマトによると、ドラマ「Killing eve」に対する批評家による評価は、好印象と答えた人が97%と素晴らしい数値。
視聴者からも、88%が好ましいと答えています。
批評家が高く評価した理由として、「ルーク ジェニングスが書いた原作小説の世界を見事に映像化した、見れば必ずハマってしまう、最高に楽しい作品」「イヴとヴィラネルを演じる二人の女優が素晴らしく、キャラクターの魅力にどんどん引き込まれてしまう」と語り、絶賛しています。
まとめ
女スパイとサイコパスな殺し屋、二人の女性が、引き寄せあいながらも対決する、ドラマ「Killing eve」。
放送開始直後に、多くの視聴者の目を惹きつけ、見ればハマること間違いなしと、批評家から大絶賛されている注目のドラマです。
話題のサスペンススリラー「Killing eve」が、ついに日本で放送されることが決定!
2019年2月から、WOWWOWプライムにて、独占放送されます。
大ヒット必至の、新感覚スパイドラマの日本上陸を、ぜひともお見逃しなく。
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