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これはただのドラマではありません。
アメリカのテレビ局TNTで、2018年1月21より放送が開始されたドラマ「エイリアニスト」は、1994年に出版されたベストセラー小説を元に制作された、サイコスリラーといったジャンルとして観られている作品。
猟奇的な連続殺人を取り扱うサイコスリラーは、映画やドラマなどこれまでに膨大な数の作品が制作されてきましたが、「エイリアニスト」はドラマ史上まれにみる価値の高い作品で、よくぞ映像化したと手を叩かずにはいられません。
Contents
シリアルキラーが登場した19世紀末が舞台
エイリアニストとは精神科医のこと。
ダニエル ブリュール、ルーク エヴァンス、そしてダコタ ファニングという超豪華キャストで贈るこのドラマは、1896年という19世紀末のニューヨークが舞台。
19世紀といえば、18世紀後半にイギリスで起きた産業革命の波が、海を渡ったアメリカでも急速に推進され、巨万の富を築き上げたブルジョワジーが台頭した時代です。
移ろいゆく世の中で、1888年にイギリスで発生した切り裂きジャック事件を始め、従来にはなかったシリアルキラー(連続猟奇殺人犯)による凶悪犯罪が次々に発覚し、人々を恐怖に陥れたという背景があります。
実在した連続殺人犯がモデル
ドラマ「エイリアニスト」は、当時実在した連続殺人犯と事件解明に奔走した精神科医の活躍を、実際に起きた殺人事件の様子や捜査状況に基づき、その事実をリアルに再現した作品です。
現実に存在したシリルキラーをモデルに、世にもおぞましい連続殺人が生まれた過程を描くストーリーに、三人の名優たちが見事な演技により観客を引き込んでしまうところが、ドラマ最大の魅力となります。
精神異常とはごく身近なもの
ドラマ「エイリアニスト」は、サイコスリラー作品として、捜査官がただ単純に犯人を暴き出して事件を解決するだけの、平凡なドラマではありません。
このドラマの優れているところは、ひとりの人間がこのような残虐な殺人を行うほど、精神異常となるに至った根本的な真相に焦点を当て、主人公である優秀な精神科医がそのすべてを解明していくという特筆すべきテーマにあります。
人が潜在的に持つ残虐な性癖に焦点を当てる
ドラマの原作となった小説「THE ALIENIST」は、アメリカの小説家ケイレブ カーが書いた犯罪小説のベストセラーで、実在する連続殺人犯と事件をモデルに執筆された作品です。
このモデルとなった殺人犯を仮にAと呼びますが、Aは幼少期に受けた猛烈な身体的虐待によって、からだを鞭で打たれるなど激しい痛みを感じることで快楽を覚える、いわゆるマゾヒズムという異常な性癖を自分の中に探り当てます。
その後成人したAは、息子たちに釘を刺した板でお尻を叩きつけるよう頼んだり、自らからだの敏感な部位に針を刺すなどして欲望を満たしますが、次第に自分を痛めつけることには限界があることを理解。
人が持つサディズムの恐るべき暴走
抑えきれぬ欲望に駆られたAは、自分の代わりに他人を激しく痛めつけることで、疑似的に快楽を得るという、サディズムの行為を思いつき実行に移します。
研究者によると、このサディズムとマゾヒズムは、いずれも生きながらにして死の快楽を疑似体験するという、本質的には同じものだとのこと。
Aは貧しい家庭の少年や少女など、幼い子供を次々に誘拐して監禁し、あらゆる残虐な方法で徹底的に痛めつけて快楽をむさぼり、自らの欲望を満たします。
こうして散々虐待したあげく、ついに被害者が絶命してしまうと、Aは信じられないことにその死体をバラバラに切り刻み、その肉やあらゆる部分をさまざまに調理して食べてしまう。
「エイリアニスト」は歴史的にも意義のある作品
このような想像を絶する残虐行為を、現実にやり遂げたAという殺人鬼がいかにして作られたのか。
このおぞましい連続殺人事件に秘められた真実を解明すべく、ダニエルが扮する優秀な精神科医ラズロと、その右腕となって行動する、ルーク エヴァンス演じるNYタイムズ紙の漫画家ジョン。
そして、二人の捜査に協力する、ダコタ ファニングが演ずるNY市警初の女性秘書で、聡明な美人のサラ。
三人の名優たちが、ドラマ史上まれにみる興味深いテーマに挑むこの作品は、歴史的にも非常に意義のある作品と言えるでしょう。
まとめ
ドラマ「エイリアニスト」の、気になる本国アメリカでの評価は、残念なことに中の上といったところ。
けれども心配はいりません。こうした斬新なテーマの作品は、必ず賛否両論が出現し、その後一気に評価されるのが常であります。
その証拠に、早々とシーズン2の制作が決定。もちろん、キャストや制作スタッフもそのまま引き継がれます。
日本でも、ネットフリックスで配信されている、この価値のある作品をぜひともお見逃しなく。
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